ijenaの文章

独り言とお喋りの間のようなブログ。

デニムのズボン、スカート

 

 前の日と同じスカートをはいた。それは買ったばかりでとても気に入っていた。だからはきたかった。これは進歩。

 

 ――昔、わたしは3本のデニムの長ズボンをまわしてはいていた。ある日、本当にある日だけ、前の日と同じデニムをはいても誰もわからないのではないか、と思った。それに、なぜかどうしようもなく前の日にはいたズボンをはきたくなった。他の2本ではなくてそれがよかった。だから何食わぬ顔、いつも通り前の日と違うズボンをはいていますの顔で学校に行った。すると昼、わたしが前の日と同じズボンをはいていることを小声で話している人がいた。周りは騒がしかった。ただわたしの耳が良すぎた。その人はわたしが好意を寄せていた人だった。

 それ以来、もう何年経っただろう、1週間毎日違うズボンかスカートをはくようになり、週6で電車に乗るようになってもそれは変わらなかった。

 

 デニムの長ズボン。関心を持って見なければ、3本とも同じに見えるのではないか? わたしの特殊な日――前の日と同じズボンをはいた日――に限らず、その人は私がいつも同じズボンをはいているように見えていたのではないか? いや、わたしに関心があったから、服装の変化(「変化」なのか? )に気付いたのではないか?

 今になって他の解釈を考えても、どれが正解かわからない。ただ、それは長い間わたしに影響を与え、わたしの選択に関わり続けた。

 

 黒のスカート。少しバルーン。試着室ではいたとき、びっくりした。なぜかそのスカートをはいたら髪型を変えたくなった。後、私は自分用のヘアアイロンを新調し、巻き髪になった。

 

 突然に何かは変わる。けども「突然」が来ない限り変わらない。

 もっとたくさんの突然がきてほしい。けども少しこわい。

 突然が去った後、胸をすく風がふき、

 何も変わらない日常がよく見えるようになる。